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粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

笠松競馬場でばん馬と「くろゆり賞」を見てきました(前編)

武邦彦元調教師が逝去。享年77歳。騎手時代は「ターフの魔術師」と言われたそうですが、騎手引退は1984年。当時は競馬に興味があるない以前にあたしゃ小学生。調教師(1985年開業)としても全盛期は私が競馬を始める前。現役時代をまったく知らない私がウィキペディアや本からエピソードを拾ってくるような真似をせずとも、あちこちでオールドファンが生の記憶で彼の「魔術」を語ってくれるはず。

ただ、訃報を知って、77歳ということは6、7年前に調教師を定年引退しているということなのですが、私は定年はつい3年くらい前のことだと思っていました。武邦彦師が競馬界を去ってからもうそんなに年月が経っていたのか…と時の流れの速さに驚かされた次第。

 

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8月12日、笠松競馬場にまた行ってきました。当日は重賞「くろゆり賞」もあったのですが、第一の目的はばん馬を見ること。私は帯広競馬場には行ったことがなく、ばん馬を生で拝むのは今回が初めて。ばんえい競馬といえば、


2011/11/20 帯広競馬10R ばんえいアイドルマスター記念

ばんえい競馬の「顔」だった井馬博アナウンサー伝説の実況のひとつ。2009年、2011~2013年の4度もNARの最優秀ばんえい馬に輝いた名馬・カネサブラックが出走。A1とはいえ1着賞金9万円のレースで、重賞「ばんえいオークス」の前座。そこに中央競馬でいえばオルフェーヴルが出走してきたようなもの。このレース、ファンによる冠協賛レースではなく、公式とのコラボ―その前のレースの殆どはファンによる冠協賛レースで埋まっていましたが。当時のばんえい笠松以上の崖っぷちで、世界中にただひとつしかないという文化財的価値を押し出して必死に存続を訴えていました。ばんえい運営サイドに熱狂的アイマスファンがいたことで実現したこの企画、とにかく徹底していた。現地に行ったニコマスPの同志・せりざわPのレポート。

せりざわPはただもふっている:ばんえいアイドルマスター記念 行ってきました。

ちなみに「ばんえいオークス」の先導馬には、貴音のコスプレをした女の子が跨っていました。

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笠松にばん馬が訪れるのはその日が初めてではなく、2010年にも同じようなイベントがあったそうで(朝日新聞岐阜県版には2010年と記されていましたが、正しくは2011年?)、このミルキーという馬はそのときにも笠松に来ていた。当日は名古屋市内の温度計が33度。その前日か前々日は、東濃地方の多治見市で39.3度、岐阜市が38度という殺人的酷暑でしたが、それに較べれば過ごしやすかった。とはいっても暑いには違いなく、北海道から来たミルキーにとってはたまらない暑さのはず。馬とはいえご苦労様でした。

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横にブースがあり、ばんえいグッズや地元の物産が販売されていました。許可を貰って商品の写真を撮らせてもらいましたが、私も「権兵衛を倒せ!」の賞品にちょっとばかりグッズを購入。

 

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突然ですが、「Gallop」誌のエッセー大賞で「奨励賞」を受賞した「大黒社」の文豪・一岡浩司先生。コンビニの店員が芥川賞を獲ったのだから、場立ちの予想屋が次回「Gallop」エッセー大賞を獲るのもわけないはず…ただ、その前に新聞に「13年式G型トラクター」の広告を出して、〇橋△一郎を消しておかないと。

 

閑話休題。こちらばんえい競馬のマスコットキャラ。「リッキーくん」という。

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そして真打登場。何とドォーダッシュという現役馬。2008年のデビューから329戦。最近も8月6日にレースに出走している。残念ながら2011年11月20日のアイマス関連レースには出走していない(その先週に出走している)。

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これが騎手が乗る橇(そり)。パフォーマンスが始まるということで、多くの観客が集まってきて、中にはテレビカメラを抱えたカメラマンや報道関係者の姿も結構見かけられました。

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ネット配信で見るように、じわじわと少しづつ進んでいくものと思ったら…

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スレッガーさんかい?

早い、早いよ!

(声:古川登志夫)

思った以上のスピードで進んでいくばん馬。観衆のあちこちから「結構速いぞ」という声が。カメラ片手に慌てて追いかけるのは私だけでなく、テレビカメラを抱えたテレビ局のスタッフも駆け足。

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スタンドの観客たちに勇姿を披露すべく一旦停まることも何度かあるのですが、追いついたかと思ったらまたささーっと橇を滑らせて先に行ってしまう。それも道理で、レースのときと違って重し(2011年、2013年にカネサブラックが勝った「ばんえい記念」は1トン)を乗せていない。橇に乗っているのは騎手だけ。

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所々で騎手が派手に鞭を振るう。これが傍目には「動物虐待」と映ることもあるのですが、以前どこかの現役騎手のインタビュー記事か何かで読んだところ、ばん馬の皮膚はぶ厚いので、痛いとか感じるほどではないという。あれを「虐待」と指摘する人は、おそらく古代エジプトかローマを舞台にした映画で奴隷に鞭打つシーン(あれも誇張演出があるのですが)とシンクロさせて言っているのでしょうが、確かに人間とばん馬では皮膚の厚さがまるで違う。

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直線コースを往復してパフォーマンスは終了。今回騎乗したのは、案内の放送で聞いたところでは、調教師だとか(聞き違いかもしれませんが)。ドォーダッシュとミルキーは、これで無事務めを果たして帯広にお帰り…というわけではなさそうで、更に大井、園田と各競馬場をアピールして回るそうです。

ばんえい競馬はアイマスのコラボレースは大好評だったものの、それだけで経営が回復するはずもなく、ハードボイルド作家・鳴海章の名作「輓馬」を映画化した「雪に願うこと」やNHKのドラマ「大地のファンファーレ」等、様々な媒体で存在をアピールしたのですが、発想の転換というべきか、ばんえい競馬を観光資源として喧伝、ちょうど荒川弘の大ヒット漫画「銀の匙」でばんえい競馬が採りあげられたことも重なり、奇跡的なV字回復を果たしました。

ただ、それに気が緩んだからか、関係者がばんえいの馬券を購入したり、複数の騎手が調整ルームに携帯電話を持ち込むという不祥事も発生。その数年前には調整ルームでの騎手による傷害事件もありました。実のところ、当日ばんえいの関係者がイベントスタッフに声を荒げる場面を幾度か見かけ、まあこれは寒さの厳しい北の人柄かとさほど気には留めませんでしたが、傷害事件もその延長線上だったのかも。まあ、騎手が同僚を殴る云々はばんえいに限らず時々あるのですが(当然あっていいものではないのですが)、どこぞの競馬場のように、勝てなかった馬を殴って調教とうそぶくような真似だけは絶対にしないでもらいたいもの。

次回は当日行われた「くろゆり賞」回顧を。