粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

フィギュアの製作代行と競馬の調教師

半月ほど前にちょっとだけえろい美少女フィギュアを購入。フィギュアといっても時々「権兵衛を倒せ!」の賞品にでてくるような彩色済みの完成品ではなく、レジンキットという未組立、未塗装のもの。幕張メッセで行われる「ワンダーフェスティバル」―通称「ワンフェス」で売られているようなものです。下の写真は今回購入したものとは違いますが、こういった感じ。ちなみに「ガレージキット」という言葉もあるのですが、これは大手メーカーではなく小規模なメーカーや「ディーラー」と呼ばれる職人が生産するため、市場に出回っている数が少量のものを指します(レジンは材質を指すのでガレージキットレジンキットとは限らない。ちなみに市販されている完成品の多くはPVC製樹脂)。それこそ「ワンフェス」のようなイベント限定その場限りのものも多く、私が買ったものもイベント限定のキットだから「ガレージキット」に該当するでしょう。

 

f:id:KAS_P:20170511180611j:plain

勿論ガンダムのプラモデルすら満足に作れない私が完成させられるわけがない。というわけで、有料でレジンキットの製作、塗装を代行するフィニッシャーと呼ばれる職人に依頼する。ただ、職人というからにはフィニッシャーたちも玉石混淆。私が購入したキットはスケールが大きめなこともあり5万円前後が相場のようで、そうなると慎重に頼む人を選ばないといけない。現役バリバリのニコマスPだった頃、同期のPで、趣味でガレージキットを作っている人がいて、もしまだその人と繋がりがあれば、どのフィニッシャーが信頼できるかヒントを得られたかもしれないのですが、今は自分で探さないといけない。

表立って代行を請け負っているフィニッシャーは、HPで手掛けた作品の写真をサンプルとして掲載していて、人によっては得手不得手な分野もあるので、あちこちで写真をじっくり見て検討。いやらしい話になりますが、ネット検索で名前を叩き、評判も確かめる。数人に絞った末、順番に問い合わせることに。というのも、人気のあるフィニッシャーだと既に多くの依頼を抱えていて、中にはHPで、再来年まで依頼が埋まっていると記していた人もいた。さすがに私も若いとはいえず、再来年の今頃生きている確信がない。幸い最初に問い合わせたフィニッシャーは、依頼を幾つか抱えていて順番待ちにはなるが、3、4カ月待ってくれれば仕事に入れるということで、どういう作風にするか繰り返しメールで遣り取りした末、正式に依頼することに。キャラクターが「艦これ」のような現在の主流からちょっと離れているので、理想の出来映えになるか、こればかりは蓋を開けてみないとわかりませんが、キットを送って検分して貰ったうえで、こちらのリクエストに対して、ここはこういうやり方にするが、キットの性質、形状から、箇所によってはよく見ると不自然な色合いに感じる可能性がある。そこはこうこういった方法でなるべく目立たないようにするが、その点は了承して欲しい等、段取りについてしっかりと説明を貰ったので、任せてみようかと。製作前の打ち合わせの段階で、要望や疑問に対し、ちゃんと説明してくれるかどうかはフィニッシャー選びの上で重要な選択基準であると、さるブログに記されていましたが、これはあらゆるジャンルでいえること。

私が今回フィニッシャーに支払う額は、ほぼ相場に近い額なのですが、お金を払うなら、本来は安ければ安いほどいい。でもネットの中で、相場より安ければ安いなりに理由があると述べている人がいました。ひとつは、安い分細かいところの手間暇を惜しんでいる。ひとつは、自分の腕に自信がない―つまり、相場より安いのだから、少しくらい他のフィニッシャーより見劣りしていても文句を言わないで欲しい、ということ。

一方で、技量的に明らかに劣るのに、製作代行料は相場並みという人もいる。身の程知らずといえばそれまでですが、それについてネットで面白いことが記されていました。そういう人たちは、元から下手だったわけではない。10年前だったら、ちょっと前のプライズ品(ゲームセンターの景品)並みの完成度でそこそこの技量として認められていて、相場通りの額を取っても依頼人にそれなりに満足して貰えたのです。ところが年月を経てレジンキットの製作、塗装の技法も進化してきた。私が今回のフィニッシャーと遣り取りしたのも、そういった新しい技法の適用に関してなのですが、そういったものを学ばなかったのか適応できなかったのか、10年前の技法そのままの人がいる。最近はプライズ品のクオリティだって進歩し、「ワンピース」や「ラブライブ!」は結構出来がいい。

これって…ある世界に似ていないか…?

 

そう、競馬の調教師。特に中央競馬では栄枯盛衰が激しい。昔はGⅠでブイブイ言わせていた厩舎が、GⅡ、GⅢでもあまり見かけなくなったり、競馬の歴史に燦然と名を残した名伯楽の後継者たちが、毎年虫の息のような成績だったりする。

大牧場や大物馬主にどれだけ摺り寄れるかといった、営業力が影響している面もあるでしょう。今は大方育成牧場で仕上げ、レース前2週間くらいで入厩、水曜日の追い切りくらいしか厩舎の仕事はないとも言われますが、それなら誰に任せても同じ。一部の調教師に期待馬や良血が集まるということは、その一部の調教師が馬を勝たせるための技術を持っているという事。10年前は、凱旋門賞に出ること自体が大ごとだったのに、今は挑戦する馬がいない年の方が珍しい。それが日本競馬の進歩を物語っています。新しい調教技術や優れた海外の技術を率先して採り入れ、結果を出している厩舎は馬房も埋まっていて、順番待ちが長いフィニッシャーと似ている。

それに、かつて中央競馬美浦を中心に回っていたのが、西高東低といわれ久しい。ひと昔前、経営が成り立たなくなった美浦の調教師たちが次々と「勇退」という名の廃業を余儀なくされ、トレセンを去っていったことがあった。中には廃業した調教師が、別の厩舎で助手として再出発することになったが、調教師時代の厩務員らスタッフへの賃金未払いが問題となり、断念したという情けないやら哀しいやらという話もありました。これらの調教師は、時代の波についていけなかった。進化した技法を採り入れず、昔ながらのぼってりした彩色しかできないフィニッシャーと似ている。成宮明光師のように、東北馬産の振興にすべてを注ぎ、自らの立場を貫くために敢えて社台に背を向け、東北馬産の衰退と運命をともにした人もいましたが、多くの調教師は漫然と旧態依然の体質から抜けることができないまま沈んで行った。調教師だけでなく厩務員もまた、ぬるま湯の旧体質から抜け出せず―特に待遇に関して労組の力を背景に既得権益固執し、調教師の経営改善の足を引っ張った面もある。西高東低の風向きが変わりそうでなかなか変わらない中、美浦で突出している調教師がいる。ただ、どうも厩務員とトラブルを起こしたりすることも度々あるらしく、某ブロガーは調教師の人格に問題があるような記し方までしていましたが、もしかするとそれは新しいスタイルで仕事をしたい調教師と、保守的な厩務員との争いなのかもしれません。

そういえば笠松競馬で調教師になった尾島徹は、一時期ノーズヒルズで研修したりと、旧態依然の笠松に新しい風を吹き込みたいとインタビューで語っていました。確かに今の笠松は馬が弱く、重賞ともなれば名古屋、兵庫、更には金沢や遠くは高知の馬の草刈り場と化してしまっている。この状況を変えられるかは尾島師や一昨年開業した栗本師、尾島師同様騎手から転向した花本、湯前両師、今年春調教師試験に合格したばかりの後藤佑耶師ら新鋭が、どこまで新しい風を吹き込めるかでしょう。