粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

岩手競馬・鈴木麻優騎手引退

 木曜日の競馬の結果

笠松競馬「ウインター争覇」…ハズレ

1着 4番ハタノリヴィール(1番人気)◎

2着 1番ヤマニンデシリュー(6番人気)△

3着 5番セルリアンラビット(4番人気)

勝ちタイム 1:56:9(重)/昨年の勝ちタイム―昨年は施行されなかったのでなし。

コースレコード 1:52:9

ここ数戦、案外な走りを続けていたキクノセントロがまさかの大逃げ。もしかしたら馬にやる気を起させるカンフル剤のつもりだったのかもしれませんが、余程相手関係に恵まれていないと1800メートルをあのペースで逃げ切ることなど不可能。とはいえ放置しておくわけにはいかず、ヘイローフォンテンが最後セルリアンラビット、クロノスバローズに捕まったのはキクノセントロの大逃げに走りのリズムを乱されたか。一方で同じように追いかける立場ながら、バテたキクノセントロをかわすと、そのまま追い込み勢の追撃を寄せ付けなかったハタノリヴィールは、調整不足とか何とかいっても、他地区勢もいないここでは実力が違っていたということか。セルリアンラビットにクビ差4着だったクロノスバローズは道中あまりに位置が後ろ過ぎた。まさか直線だけで勝てるなどと高木は悠長なことは考えていなかったでしょうが、ここまでズブい馬ではないはず。4角でもうちょっと前にいればと悔やまれる。巧妙に位置取りを押し上げていったセルリアンラビットの大畑との差は着差以上のものがあります。

 

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(写真はshugoro氏撮影)

岩手競馬の女性騎手・鈴木麻優が引退しました。

まだ私が名古屋競馬に決別していなかった頃、同競馬場の「レディスアンドヤングジョッキーズ」という女性騎手と名古屋・笠松の若手騎手が競い合うレースイベントを見に行ったことがあります。同競馬場のアイドル・木之前葵に劣らぬ人気ぶりで、そのうえ余程名古屋と相性がいいのか大活躍。ただ、岩手ではあまり活躍の場が与えられず、元競馬マスコミのshugoro氏が「他の競馬場に移籍すればいいのに」とぼやいていました。鈴木自身は岩手での境遇に満足はしていなかったでしょうが、下村瑠依のように新天地を求めたかったか、それとも時間はかかってもいつかは岩手で認められる存在になりたかったかわかりません。

引退の原因はレース中の落馬による負傷。これについては当人が、

―この度はいきなりの引退発表で驚かれた方もたくさんいると思います。なぜこんなに早く引退を決めたかと言いますと、大きなけがで体を元のコンディションに戻すのが難しいのはもちろんですが、一番は自分の気持ちをまた、プロの騎手として建て直すことができないと思ったからです。

とコメントで述べています。気持ちをプロの騎手として建て直すことができないというくだり、人によっては「メンタルが脆弱だ。だから女性騎手は…」と思うかもしれません。しかし、一般の人が思っているよりも、落馬が騎手の精神面に与えるダメージは大きい。

前のブログでも引用したのですが、荒尾競馬のベテラン・吉田隆二元騎手がレース中落馬で重傷を負い、長期の療養を余儀なくされた。その後現場復帰することができたのですが、落馬したときのイメージが頭から離れず、しばらくは恐怖と戦いながら馬に乗り続けたそうです。百戦錬磨のベテランでさえトラウマに縛られる。男女関わらず、何度でも立ち上がろうとする騎手はいて、そのガッツは称賛に価します。ただ、誰にでもそれがあるわけではないし、求めてもいけない。

騎手というスポーツ選手(オリンピック、パラリンピックに乗馬の競技があり、F1のことをモータースポーツというのだから、競馬もスポーツと捉えていいでしょう)が、他と異なるのは、とにかく勝負の行方によって利益の得失に関わる人が多いこと。馬主、調教師、担当厩務員、生産牧場、そして無数の馬券を買うファン。馬券を紙屑にされたファンは負けたら騎手を下手糞と罵りますが、生活がかかるような馬鹿な賭け方をしなければ、翌日―早ければ次のレースにはもう忘れている。でも、それ以外の人たちは、馬の着順によって得られる額がファンの馬券とはワケが違う。騎手にかかるプレッシャーが大きい。無論そんなものを騎乗の毎意識していては身がもたないし、地方は中央ほど大きな額は動きませんが、関わる人が多いことは中央も地方も同じ。それらの人の期待を裏切ることが続けば、やがて居場所を失ってしまう。

思い出すのは後藤浩輝元騎手と青木芳之元騎手。何か不祥事を起こして追い詰められたわけでもないのに自ら命を絶ってしまった。プレッシャーや焦燥の蓄積が、ある日突然絶望的な衝動に変わってしまったのかもしれない。鈴木麻優は多くのファンの励ましがありながら、それに応えることができず引退するのですが、引退する決意ができた分、よかったと考えられなくもないでしょう。

鈴木は今後は「違う世界」と、競馬と無縁の世界で新たな生活を送ることを示唆していますが、一旦競馬から離れながら、戻ってくる人も多くいる。笠松の吉井だって岩手競馬を引退した後、一時期競馬から離れていた。無論、新天地に定着できればそれに越したことはないのですが、「岩手競馬の騎手になれて幸せでした」と思い出で終わらせるよりも、騎手ではなくても何らかの形で競馬界に戻ってきて欲しいと個人的には思うのです。何にせよ今後のことはゆっくり考えればいい。22歳とまだ若いのだから、