粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

笠松競馬の借地料問題についてもうちょっと。

日曜日の競馬の結果

中央小倉「小倉記念」…ハズレ

1着 11番トリオンフ(1番人気)〇

2着 10番サトノクロニクル(2番人気)

3着 7番マウントゴールド(5番人気)▲

七夕賞勝ち馬で本命のマイネルサージュは10着、同レース2着だったメドウラークは11着のブービー。何なんだと言いたいけれど、これがサマー2000シリーズの難しいところなのでしょう。これは折り込み済みでボックス買いしたものの、近走長いところばかり使っていたにも関わらずサトノクロニクルが序盤から好位につけ、そのまま粘り切って2着だったのが誤算。ただ、デムーロの好判断と騎乗技術によるところが大きくて、馬自身は2000メートルのペースに戸惑っているところはありました。前行ったもの勝ちの結果が示すようにスローだったのが救いか。今後はサマー2000シリーズを狙うよりも、一旦休みを入れてアルゼンチン共和国杯ジャパンカップを目標にした方がいいかも。

 

ところで前回触れたこのニュースについてもうちょっと。
www.chunichi.co.jp

 

インターネット投票の場合、システムの運営会社から「ショバ代」として10~13%の手数料を取られます。ちなみにJRAが10%。オッズパーク楽天競馬、SPAT4は調べてもわかりませんでしたが、おそらく13%前後でしょう。

荒尾、福山両競馬場廃止直後、皮肉にもJRA南関東競馬のみを対象としていたSPAT4が全国の競馬場のネット販売を行うようになった(JRAのI-PATはばんえい競馬は販売していない)ことも手伝い、各主催者のネット売り上げが急上昇。高知は温暖な気候を利用して通年ナイターを開催、ネット販売中心の環境を整えて大成功。名古屋も一気に累積赤字を完済。交通アクセスが大幅に劣化するにも関わらず、弥富に競馬場を移転するのは、ネットによる馬券販売に特化すること前提でしょう。それにネット販売は、どうもポイントがつくらしく、競馬場現地に居ながら手持ちの端末でネット購入する者がいたり、鉄板レースでの、ポイント目当ての単勝複勝の大量購入が問題になったことも。ちなみに私はネットでは買うレースも限られているし金額もしれているので、ポイントは全く無視です。それでも各競馬場がネット販売の恩恵を受け、経営を持ち直している中、そのうちのひとつであったはずの笠松に大きな問題が持ち上がってきました。それが借地料問題。

笠松は他場と違い、競馬場敷地の殆どが借地。しかも約260人という所謂「一坪地主」が大半を占めています(共有という形の地主もいると思いますが)。競馬場の敷地内に畑があったり墓地があったりと、事情を知らない人からすれば長閑な光景ですが、一部の地主と良好な関係を築けていない証左でもあるのです。元は、競馬場を作る際、すべての地主が納得しないまま工事を強行したのが原因。そのツケが後世になって回ってきた。

2004~2005年頃の存廃問題が一段落したと思いきや、借地権問題が表面化し、地主たちの土地明け渡しを求めて集団提訴。2008年に一旦は地裁が、笠松競馬は土地を更地にして地主に明け渡すよう判決を下しました。ここに笠松競馬は再び風前の灯となったのですが、呆れたことに原告側を引っ張る弁護士に、明け渡し後のビジョンが皆無だった。笠松競馬場の敷地は、市街区調整地域なのです。ウィキペディアから引用すると、

 

—この区域では、開発行為は原則として行わず、都市施設の整備も原則として行われない。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域となる。ただし、一定規模までの農林水産業施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業などによる整備等は可能である。既存建築物を除いては、全般的に農林水産業などの田園地帯とすることが企図されている。

 

競馬場は農林水産業施設なのでOK。結局地主たちは賃料収入を失うどころか、逆に利用価値のない土地のため、高額ではないにせよ固定資産税を払い続ける―税は競馬場が支払っていた—羽目になるため、次々と原告団から離脱。土地の事情を知らなかった、もしくは地主に説明していなかったとすれば明らかな弁護過誤。元々競馬場の廃止に迷っていた馬主や、事実だったらとんでもないことですが、賃借料を引き上げるための方便と言われて参加した馬主もいたらしく、どうもごく一部の地主の「私怨」に基づく騒動だったと思えなくもない部分が、当時の関係者の発言の節々から窺えるのですが、それはさておき、結局は地代を毎年1200円とし、以降馬券売り上げの増大に応じて地代を増やしていくという和解に落ち着いたのです。

ただ、このときの「売り上げ」を、ネット販売の手数料を考慮せず、昔同様単純に25%(後に26%)で計算していたのは、笠松競馬場のミス。まあ言わせてもらえば、原告側の弁護士がポンコツなら、被告側の弁護士も似たようなもので、一審では強気に「笠松競馬は永久に借地権がある」と、開き直ったような物言いで結局は敗れた。地主たちを翻意させたのは調教師たち現場の地道かつ必死な説得でした。このときにはもう明らかに、昭和のように毎開催日ごとに多くの人に来場してもらうというのは難しい状況。笠松競馬場に行くと、一時よりは人は賑わっている印象がありますが、やはり売り上げの多くはネット販売に依存しています。事務方や競馬場側の弁護士は、時代の趨勢を読み取ることができなかったということ。今や1200円が5倍以上の6300円となり、「ネットの売り上げが増えない方がまだいい」と関係者が悲鳴をあげるまでの状況に至ってしまったのです。

これがもし、笠松だけの問題でなければ、オッズパーク楽天競馬、JRAも何か対策を講じたでしょうが、如何せん笠松の特殊事情。広江町長は、スタンドの改装にまで思いを馳せていましたが、そんな状況ではなくなってしまいました。ただ、厩舎地区の改修は絶対に行わなければならない。厩舎地区が震度3で全壊しそうなオンボロだから…ではなく、過去、脱走した競走馬が自動車と激突、自動車の運転手が死亡するという事故は、厩舎地区と競馬場を繋ぐ構造に問題があり、次同じような事故を起こせば、間違いなく管轄する農水省の手によって廃止させられるのです。

笠松競馬場の土地が市街区調整地域であるという事情からも、誠意をもって話せば大半の地主は減額交渉に応じてくれると思います。「誠意をもって」なんて当たり前のことですが、先述の存廃問題や、先の地主たちの法廷闘争で、競馬場側—特に事務方にそういった誠意が欠けているような態度が度々見えた。少なくともこちらから敷地が市街区調整地域であることを持ち出すべきではない。それに先の法廷闘争のときと違うのは、何にせよ売り上げが伸びていること。あのときのように、廃止は免れたが先がない…という状況ではないのです。

とはいえ、高知や名古屋のようにネット馬券オンリーでやっていけるというわけにはいかない以上、競馬場に人を呼び込む工夫をしなければならない。バーベキューの場に馬場を貸し出したり、FC岐阜の試合を「清流ビジョン」で放送したり、競馬を抜きにしても人を呼び込み、地域に溶け込もうとしている最近の活動は評価できます。そういった活動も地主たちに競馬場存続を理解してもらうことにつながる。

それに売り上げをネットに頼り過ぎるのは危険。ネットは手軽に買えますが、離れるのも簡単。根付くのはやはり生身の人。ファンが定期的に脚を運んでくれるような魅力ある競馬場にすることが大切です。

最後にお盆の笠松競馬。重賞の「くろゆり賞」は16日。13日はデムーロが来場するそうですが、「サイン入りのグッズプレゼントがあるかも?」と断言できないのが笠松らしい。

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