ついに念願の12頭フルゲート開催となった「笠松グランプリ」。とはいえ馬柱を見て「あれ?」と。選定されていた岩手のラブバレットがいない。昨年は4着に敗れたもののそれまで3連覇。「クラスターカップ」も9着に敗れ、往年の強さはないものの、1400メートルのレコードホルダーでもあり、当然注目の一頭。どうしたのかと思ったら……岩手でまたもや薬物事件。そのあおりで回避。どう考えても岩手を潰したい外部の犯行としか思えず、腹ただしい限りですが、防げなかった岩手も甘い。それに岩手であることが他の競馬場ではないなどとは決していえない。笠松に至ってはそれとは別に、馬の脱走が相次いでいて、痛ましい死亡事故が起こった後も脱走騒ぎを起こした。幸い大事には至らなかったものの、危機管理は徹底して欲しいものです。
1枠1番 ゴールドリング(友森翔太郎) 牝3歳 54キロ
名古屋・塚田隆厩舎/父エスポワールシチー 母父タイキシャトル
今年の東海公営クラシックの有力候補の一角だったが、「若草賞」(名古屋)勝利後、園田「のじぎく賞」を回避する等、調整の順調さに欠け、調整不足のまま臨んだ「東海ダービー」で12頭中11着のブービー負けを喫する。以降Aクラスでまったく見せ場がない。多少の復調があったとしても今回は到底歯が立つ相手ではない。
ホッカイドウ・田中淳厩舎/父トビーズコーナー 母父キングヘイロー
3走前の園田「楠賞」勝利が2018年11月14日で、2走前が2019年9月25日のAB混合特別と、11か月近くのブランクがあったが2着と好走。その後名古屋「ゴールド争覇」3着。勝ち馬のケイマには1.0秒差つけられたが2着ポルタディソーニとはクビ差だった。ちなみにポルタディソーニは次の「東海菊花賞」でも2着。道営所属馬だが長距離輸送をまったく苦にしない。休み明け3走目、上積みあればケイマとの差も詰められるだろう。ただ、逆転まではどうか?
3枠3番 ストーミーワンダー(渡邊竜也) 牡5歳 57キロ
笠松・笹野博厩舎/父ストーミングホーム 母父ワイルドラッシュ
笠松の大将格。4走前に、本調子ではなかったのだろうがカツゲキキトキトを撃破して「くろゆり賞」を勝利。2走前に園田「姫山菊花賞」勝利で重賞5勝目をマークしたが、前走「ゴールド争覇」は4着とはいえ内容は着順よりひどいものだった。1400メートルは「金沢スプリントカップ」を勝っているが、距離は長い方がよさそうだ。決して弱い馬ではないが、地の利があっても1400メートルでこの相手関係だと分が悪い。
4枠4番 ストロングハート(吉原寛人) 牝4歳 55キロ
19日の川崎「ローレル賞」でワンツースリー独占した内田勝義厩舎からの刺客。実は補欠だったが、ラブバレット回避で繰り上げ。近2走は不振—とはいえ前走は交流GⅠで、それ以前は手堅い成績を残している。ただ、牝馬限定戦が多い。「アフター5スター賞」は12番人気15着のブービー負けだったが、下の着順だった他の馬たちも、笠松や名古屋の重賞に出れば見せ場くらいは作れそうな気がしないでもない。南関と東海の格差を感じるが、今回はケイマやソイカウボーイ、園田の実力馬も参戦している。鞍上込みで掲示板までではなかろうか。
5枠5番 アドマイヤムテキ(丸野勝虎) 牡6歳 57キロ
名古屋・角田輝厩舎/父ヴァーミリアン 母父サドラーズウェルズ
中央2勝馬。ただしまだ降級制度があった頃なので、1勝クラスからの移籍。6歳まで500万クラス(1勝クラス)を彷徨っていたとはいえ、移籍する前も着順は真ん中かそのちょっと後ろくらいで、つまりは前のオーナーが見切りをつけるまで時間がかかった程度には走った馬。名古屋移籍後はAクラスで圧倒的な力を見せる。重賞は今回が初めてで、しかも全国クラスなので何ともいえないが、中央1勝クラスを抜け出せなかったこの馬に勝ち負けを許すようだと、西日本の地方競馬の面子が立たない。中央時代は渋った馬場を得意としたような傾向があり、比較的軽い笠松の馬場との相性もポイントだろう。主戦は岡部誠だが、騎乗停止により今回は丸野が手綱を取る。
5枠6番 ヴェゼール(藤原幹生) 牡6歳 57キロ
中央1000万条件から今年3月名古屋・竹下直人厩舎に移籍。幸先は良かったが、しばらくして調子を落とし、笠松・後藤佑耶厩舎に移籍しての初戦。近4走連続大差の殿負け。こうなると走る気持ちの問題としか思えず、もしかしたら環境が変わって持ち直すこともあるかもしれないが、とりあえず移籍初戦の今回はまわってくるだけだろう。
名古屋・坂口義厩舎/父スパイツタウン 母父フォレストワイルドキャット
中央から東西、各地の競馬場を転々としてきた古つわものの外国馬。9歳になった今年も金沢、盛岡の重賞を制覇。ただ、近年強いのは1000メートルやそれ以下の極端なスプリント戦で、1400メートル戦は地元A2、A3クラスまで。そもそも上のクラスで1400メートル以下がない東海公営には向いていない馬。
6枠8番 ナチュラリー(笹田知宏) 牡5歳 57キロ
兵庫・新子雅厩舎/父ゴールドヘイロー 母父コマンダーインチーフ
兵庫のスプリントのスペシャリスト。昨年は名古屋の「東海桜花賞」も含め、人気を背負ってすっ転ぶことも度々あったが、今年は堅実。ただ距離は短い方がよく、信頼度は1400メートルより1230メートルの方が高い。とはいえエイシンテキサスよりは距離的に融通が利き、1230メートルでは後述のエイシンエンジョイと互角以上の勝負ができる器なので、ここでも軽視は禁物。
7枠9番 エイシンエンジョイ(下原理) 牡4歳 57キロ
ナチュラリーのライバル的存在だが、1400メートルという距離ではこちらの方が些か分が良いように思える。園田移籍後は7戦して馬券圏外に敗れたことはなく、安定感でもナチュラリーより上。笠松では土砂降りの中、同距離の「サマーカップ」を1番人気で圧勝している。「サマーカップ」より相手は大幅強化になるが、それでも有力な一角ではある。鞍上下原は昨年エイシンバランサーでこのレースを勝利。
7枠10番 ウインハピネス(東川公則) 牡4歳 57キロ
母は2006年北九州記念(中央GⅢ)勝ち馬のコスモフォーチュン。オーナーはクラブ馬主の「ウイン」のままで、従って当初は2勝したら中央に戻る予定だったが、「オータムカップ」の出走権を得たことから、出走して勝利。中央では2桁着順しかなく、このまま笠松に残っていた方が出資者にもお金が入ってくると思うのだが。経費も中央に較べると安いし。ただ「オータムカップ」は1900メートルで、今回相手も大幅に強化される。1400~1600メートルでは僅差の戦いが多く、今回は苦戦が予想される。前述のストーミーワンダーもそうだが、賞金は安くても大晦日の「東海ゴールドカップ」の方が面白い。ただ、その時まだ笠松に在籍しているかどうかはわからないが。
8枠11番 メモリーフェーヴル(村上弘樹) 牝5歳 55キロ
名古屋・塚田隆厩舎/父タイムパラドックス 母父キャプテンスティーヴ
2走前に牝馬限定重賞「秋桜賞」2着。Aクラスでは勝ち星を重ね続けてきたが、オープンに入ると脚質的なものもあるのか勝ち味に遅く、手堅いものの2、3着までが多い。それでも名古屋で21戦、馬券圏外は重賞の前走も含めて5度だけというのは褒めていいだろう。1400メートルでは快速馬が多い今回は厳しいが、前が争って崩れるようなことがあれば、外から脚を伸ばして3着くらいには紛れて来る可能性がないとも言い切れない。
8枠12番 ケイマ(永森大智) 牡6歳 57キロ
高知・別府真厩舎/父シニスターミニスター 母父グランデラ
今回の台風の目。中央1600万で頭打ちになり高知に移籍し、重賞3勝を含め5連勝、そして前走は名古屋の「ゴールド争覇」を逃げて圧勝してみせた。高知レベルだから5連勝できたというよりも、高知に来て復活したと捉えた方が良い。そうでなければ「ゴールド争覇」で1番人気に推されて尚且つあれだけ鮮やかな勝ち方はできないだろう。ただ、今回は快速自慢が多く、先手を取れるか、また取れたところで同型のマークに堪えられるかが課題になる。大外枠を引いたことから、相手の出方次第ではマークする方に回るかもしれない。