粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

往年のPC名作ゲーム「信長の野望 全・国・版」を語る。

今回は、前のブログで掲載していた歴史シミュレーションゲーム信長の野望 全・国・版」のレビューをリテイクしてみたいと思います。

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一番最初の「信長の野望」は最初、コーエー自体が「なかったことにしてくれ」と泣きを入れている「ストロベリーポルノ」三部作と同時期の1983年にPCで発売されました。
といっても最初は関東から近畿にかけての17国しかなく、プレイヤーは織田信長(2人でプレイするときは2人目は武田信玄)のみで、武将の顔グラフィックなんてありませんでした。クリアできるかどうかより、まずはバグを起こさずに最後までやれるかどうか。当時のゲーマーたちはバグには寛容でした。後のシリーズ作品の「創造」(2013)だったか「大志」(2017)だったかのPC版の特典として、この最初の「信長の野望」のダウンロードコードが封入されていました。

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そして86年に、その作品のリメイクということで「全・国・版」が発売。システム面を強化、国も北は北海道から南は鹿児島まで50ヶ国に増やし、顔グラも付けて50人誰でもプレイできるようになりました。

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上の写真はPC9801版のフロッピーディスクですが、以下の画面は1988年に移植されたX68000版(EMU)になります。

 

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これがメイン画面。「兵忠」が低いと謀反が発生する可能性が高く、「民忠」が低いと一揆が発生します。「兵忠」と「民忠」は金や米を与えることで上げます。兵士はすべて傭兵で、相場により変動します。勿論秋には俸給を与えねばならず、計画的に富国強兵をしないと財政が破綻して、攻め込まれたとき何もできないまま終了となりかねません。
配下の武将が出てくるのはこの次の「戦国群雄伝」から。この「全・国・版」は大名一代限り。その大名が戦死したり病気、寿命で死ねばその時点でゲーム終了です。というわけで、強い弱い以前に年齢的にどう考えても全国統一できない大名が数名います。その筆頭格が毛利元就63歳。だから若い大名を選ぶことがこのゲームの鍵となります。一番若い大名が播磨(兵庫県南部)の別所長治6歳。

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担当する大名を決めたら、スロット方式で武将の能力を決めます。これは初代「三國志」や「蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」、「信長の野望戦国群雄伝」でも採用されているのですが、ストロベリーポルノ三部作の「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか」でも用いられ、パラメータの中に「精力」があったりした。

PC8801版では振り幅が大きく、最低30から最高109まで。従ってなかなかトータルで満足のいく能力値を出せないのですが、実はすべてを最高値にできる裏技がありました。

 

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この戦闘シーン、数で圧せばいいだろうと思いがちですが、結構頭脳戦で凌げます。地形を利用したり、本隊(第1部隊)を集中攻撃できるような部隊配置を考えたり(全滅させずとも本隊さえ殲滅できれば勝利)、以降のシリーズと違って武将の能力に頼れない分、頭を使わされます。シンプルなSLGほど、プレイヤーの頭脳が試されます。ちなみに上の画面、山岳地帯と海は侵入不可で、毛利(黄色)は本体が第3部隊以降の進路を塞いでしまっている。従って第3部隊以降は戦闘に参加できず、宇喜多(緑色)は全部隊を毛利本体への攻撃に集中して潰せば、後ろの3つの部隊の兵と兵糧はそっくり手に入れることが出来ます。ただ、この場面だと毛利の第3部隊以降が動けなくても、第1部隊が宇喜多の全兵力以上。兵士の練度も違い過ぎてまず勝てない。

ちなみに兵力1が1000人に相当。このゲームでは1560年、桶狭間直前の時点で既に徳川家康が独立した大名として扱われているのですが、まだハイティーンの家康が既に10万の大軍を擁し、史実では当時臣従していた今川義元と互角以上という状況。

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このような平野が広がる地形だと戦力差がすべて。ちなみに「伊達」は伊達政宗の父・伊達輝宗で、独眼竜政宗がシリーズに登場するのは2作後の「武将風雲録」からになります。

先述しましたがこのゲーム、大名は一代限りです。ですから伊達輝宗が死んでも政宗に代替わりはせず、下のようなコンピュータが作った架空の大名が登場します。

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謀反や一揆で殺されたり、(謀反・一揆も大名同士の戦い同様HEX戦になる)、病死したりすると、本国には架空の大名が登場し、もし本国以外に領地を持っていた場合は空白地になり、何故か周囲の大名で競売にかけられます。一国を金で買うんですよ。

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ただひとつだけ例外がありまして……。


MSX2 信長の野望 全国版 本能寺の変の条件!コツとやり方とは?

本能寺の変」です。「本能寺の変」で信長が死ぬと、新たに羽柴秀吉明智光秀柴田勝家の三人の大名が登場し、プレイヤーは以後羽柴秀吉を担当してゲームを続行することになります。ただ、秀吉も結構齢とってるし、信長の領土が羽柴、明智、柴田に三分割されるので、結構シビアです。実はこのゲーム、大名の苗字だけ自由に変えることができるのですが、既にいる大名と同じ苗字は使えません(従って「徳川信長」は不可)。しかし「羽柴」、「明智」、「柴田」だけ、同姓の大名がいないにも関わらず「この名前は使用できません」と拒否されるんです。この時点で「何かあるな」と思うでしょう。
ちなみに「本能寺の変」で信長が勝つとどうなるか?私、一度明智光秀を返り討ちにしました。当然といえば当然ですが、何事もなかったようにゲームが進行します。つまらん。

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「全・国・版」は私、色々な機種でプレイしました。ただ、PCだと同じPC88や98でも型式によって思考ルーチンが変わってきたりするかもしれません。ちなみにコンピュータの強さは1から5まで選択でき、1を選択した場合。PC8801、9801版はグラフィックはまったく同じです。

PC8801(mkⅡSR)—一番バランスが取れている。

一番やりこんだ機種。思考ルーチンも堅実で、易し過ぎず難し過ぎず。ゲーム開始早々隣国の軍が大挙して押し寄せてくるということは少ないですが、逆に自滅する可能性も小さい。

PC9801(RX)—成り上がり大名が強い。

最近ソフトをヤフオクで購入しプレイ。謀叛の発生率が高く、暫くプレイしていると中堅クラスまでの大名は皆さん謀叛でお陀仏します。下剋上大名(架空の大名)はPC8801版だと弱く、出てきても即隣国の大名の餌食となって消えるのですが、98版は結構強い。場合によっては前の大名より手強くなったりしています。

ファミコン―意外と遊べる。

難易度は高いです。レベル1でも敵大名の初期国力が大きく上積みされているので、後述するような弱小大名を選択した場合、ゲーム開始直後に10万の大軍勢に攻め込まれます。ただコンピュータはそれほど好戦的ではありませんので、画面構成の見づらさやひらがなしかないテキストに慣れれば、ヘンな大名を選ばないという前提で結構遊べます。ファミコンだからといってバカにできない。

ウィンドウズの復刻版—敵が勝手に自滅してくれる。

PC98版に準拠しているそうですが、はっきり言って一番簡単でした。思考ルーチンがかなり好戦的で、序盤さえ凌げば、強豪大名は勝手にやり合って仲良く自滅してくれます。10年経てば、あとは無人の野を行く如く日本全国平らげることができます。毛利はキツくても、46歳の島津あたりでもクリアは可能。私は波多野秀治の苗字を「大滝」に変えて20年足らずで全国統一を成し遂げました。
スーパーファミコン—新しいシナリオが追加。

持ってはいたのですが、あまりプレイしませんでした。大名の顔グラフィックが一新されたのですが、どうも好きになれなかった。紀伊が堀内から雑賀に、肥後が阿蘇から相良へと、一部大名が変更されています。また1571年の信長包囲網の頃、1582年の本能寺直前のシナリオがあるのが特徴。プレイできる大名は50人からだいぶ減りますが、武田勝頼上杉景勝でプレイできます。

プレイステーションセガサターン

プレイしたことはありませんが、多分スーパーファミコン版と同じでは?

X68000(EMU 68K)—好戦的なのは復刻版と同じだが…。

ハードのグラフィック能力を活かすべく、大名の顔グラフィックを大きく刷新。EMUでプレイしたので実機の場合は違うかもしれませんが、とにかく好戦的。ボロボロになるまでひたすら殴り合う。その辺りはウインドウズの復刻版と似ていますが、違うのは、のんびり構えているとその中で生き残った大名が大勢力を築いてプレイヤーの前に立ち塞がります。私がプレイした時は、近畿から関東を支配した時、東北は葛西、中国、四国、九州は長宗我部が支配し、日本が3分割されたような形になっていました。

 

この大名でクリアしたら「全・国・版」免許皆伝という難易度Aクラス弱小大名ベスト4を紹介。

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大河ドラマ麒麟がくる」で伊藤英明が演じたドラマ前半の主要人物。下剋上の代表ともいえる父・斉藤道三と争い、父を殺して国主の座に。史実ではかなり優れた人物で、信長が攻めてくれば撃退、信長が浅井と同盟するや、すかさず浅井と敵対する六角と手を結んで牽制する等、この男の存命中は、信長が美濃(岐阜県南部)につけ入る隙を与えませんでした。桶狭間の翌年1561年に急死(道三の怨霊に殺されたという話もある)しなければ、信長の上洛は大きく遅れるどころか、成し得たかどうかもわかりません。義竜の死が日本の歴史を大きく動かしたと言えるでしょう。
戦国群雄伝」以降は史実通り手強い相手なのですが、「全・国・版」では序盤で謀反で死ぬか、織田、徳川ら周囲の強豪の餌食になるか。周りがみんな強すぎるんですよ。ただ、兵力はそこそこあるので、序盤さえ何とか凌げば生き延びることは可能ということで第4位。

 

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戦国群雄伝」以降に神保長職という人物が越中(富山県)の大名として登場しますが、氏張は別人。長職の分家的存在で、森山城主として能登(石川県北部)の畠山家に従っていました。信長が越中に侵攻してくるとそれに従って戦功をあげ、佐々成政の副官的存在に。成政が秀吉に切腹させられると徳川家康に仕え、子孫は旗本となりました。織田・上杉の争いの波に呑み込まれ消滅した本家よりは恵まれています。娘婿は前田利家から絶大な信頼を得た「加賀八家」のひとつの祖・長連竜。

「兵忠」、「民忠」とも弱小大名の中ではマシな方で、謀反や一揆の心配こそないものの、周囲に武田・上杉というとんでもない勢力があり、ゲーム開始早々叩き潰されます。兵力・国力ともに乏しく、上掲斉藤なら、兵を雇って備えられるも、そんな金すらない。東北なら神保クラスの大名でも生き延びられるのですが、周りの環境が悲惨すぎ。というわけで第3位。

 

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父の代に武田信玄に降伏、臣従していましたが、1582年、信長に内通。これが信長が武田を滅ぼす「天目山の戦い」の引き金となりました。その際武田家の人質だった老母や側室、娘や息子が武田勝頼に処刑されています。大河ドラマ真田丸」では石井愃一が随分と尊大で、そのくせ真田昌幸の母に頭が上がらないコミカルな役を演じていましたが、史実では母親や妻子を犠牲にして家名を保ったのです。堺屋太一の小説「鬼と人と」では、冒頭に登場し、片方の主人公・信長が彼の変節を高く評価する場面があることによって、もう片方の主人公・光秀とのコントラストを引き立てていました。ただし息子の義利が暗愚で、結局徳川時代に取り潰されています。
周囲に徳川、今川、武田と強豪大名が揃い踏み。木曾福島(長野県西部)の地形は懸崖で攻めるに難しいが、守る方もテクニックを封殺され、消耗戦に持ち込まざるを得ない。消耗戦になれば数が多い方が勝つわけで…生き残れません。第2位。

 

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源平合戦の頃からの筋金入りの名家ですが、戦国時代には完全に弱体化。芳賀高定という忠臣の補佐もあり、父の仇・那須高資(那須与一の子孫)を倒したり、上杉謙信と結んで北条家に抵抗したり、結構頑張っています。何とか独立を保ちましたが、広綱は32歳で病死。次の代の国綱が秀吉に取り潰されました(家中内訌や検地での石高詐称、浅野家との縁組を一部重臣が妨害し、浅野長政の怒りを買った等原因に諸説あり)。それでも秀吉の朝鮮侵略の際、戦功をあげれば家名を再興するという秀吉の約束を信じ朝鮮に渡るも、秀吉が病死し、シオシオのパー。流浪の挙句失意のうちに病死。ちなみに結城晴朝の養子になって結城家を継ぐはずだった国綱の弟・朝勝も徳川家康の次男・秀康にその座を奪われたという、兄弟揃って悲運の持ち主。救いなのは国綱の息子義綱が水戸藩に仕え、子孫が水戸藩の家老に出世したことか。
栄えある(?)難易度1位です。もうどうしようもありません。国は貧乏、兵力もなく、「兵忠」、「民忠」とも最低レベル。同じような大名に丹波(京都府北部)の波多野秀治がいますが、波多野は周囲も大したことないので、比較的何とかなります。しかし宇都宮は上は上杉、下に北条。PC88版でも、私がプレイして一年生き延びた試しがありません。史実のように上杉と結んで北条と戦う以前に、その上杉に滅ぼされます。「全・国・版」の上杉謙信は義もへったくれもありませんから。

最後に、X68000版のクリア画面を。ちなみに私はPC88、98版のクリア画面の方が好き。X68のクリア画面は思わず「酒は清州城信長・鬼殺し」のCM(東海地区限定)を思い出してしまう。

1枚絵が出てきて終わりで、今からすると散々苦労してたったこれだけかよ?と思うのですが、昔はその一枚絵で全てが報われる気持ちになれたのでした。

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