粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

JRA調教師のパワハラ事件について。

以前ちょっと触れた木村哲也調教師のパワハラ疑惑について、長文のコメントがあり、コメント欄で返すよりも、ここで文章にした方がよいのでは?と思った次第。

 

まず私は何があっても絶対に体罰はいけない、という立場ではありません。私はリベラリストではなく、森喜朗ほど頭の中の時間がストップしてはいないにせよ、結構保守的な考えの持ち主です―とはいえ、高須某とか百田某とか有本某とか、ああいう胡散臭い輩とは一緒にしてもらいたくない―。要は「スクールウォーズ」を見て育った世代で、学校自体が「スクールウォーズ」を地で行っていたような学校だったので、自身も結構教師にバシバシ叩かれていたし、大学時代の途中までは喧嘩で殴る殴られるは度々だった。だから体罰というものへの拒否反応が他の人ほど強くない。ただ「滝沢先生」のように体罰を正しく使える指導者は100人にひとり、いや、1000人にひとりいるかどうか怪しいです。だから実質的には体罰反対派でしょう。口で言ってもわからなければ手で…という考え方はありません。口でわからなければ叩いても同じ。

以前記したように、競馬の騎乗技術は自分の命、そして一緒にレースに参加する他の騎手の命にも関わってくる。だから厳しく指導する必要があると私は思います。福永は北橋修二師に随分と厳しく教育された。ただ言葉で厳しく叱るにしても、どう叱るかが問題で、恐くても福永と北橋師のようにコミュニケーションが築けていればいいのですが、築けていなければ「恐い」が「恐怖」に変わる。そうなるともう教育ではなくなる。

木村は大塚に対し「底辺」とか「厩舎のお荷物」とか言ったそうですが、それは問題外。学校で担任が生徒に「底辺」とか「クラスのお荷物」と言えば、生徒がどう思うかです。これで奮起するとか改心するとかは絶対有り得ない。「叱る」ではなく感情に任せて「怒っている」だけ。「腹が立つ」、「ムカつく」と変わらない。明らかに「パワハラ」で、大塚に恐怖を植え付けているだけ。教育現場の片隅にいる立場から言わせてもらうと、木村は「教育目的」と言っているが、この男は「教育」の意味がわかっているのか?と言いたくなります。これでは技術調教師の間、人や馬を育てる技術を学ぶことそっちのけで、社台に媚びを売って馬を預けてもらう営業ばかりに精を出して、結果一部の競馬ファンが揶揄するようにノーザンファームの餌やり係に堕したと言われても仕方ない。良血馬を預けてもらった者勝ちという風潮が、結局若手調教師を単なる営業マンにさせ、やがては人も馬もロクに育てられない単なる良血馬の餌やり係にしてしまっているのでは?

 

ただ、大塚海渡は遅咲きとか晩成と弁護するにはあまりに危険な騎乗が多過ぎる。177回の騎乗で制裁が10回。3勝して2着、3着それぞれ7回。10回に1回は馬券に絡めるのだから素養ゼロではない。ただ、制裁はすべて斜行で、馬の制御に問題がある。斜行は他馬に騎乗する騎手をも危険に晒す。騎手はレースの数をこなして成長するものの、私が師匠でも、これではレースに乗せるには躊躇してしまいます。

この点に関しては競馬学校に問題がある。今年デビューする新人騎手の古川奈穂は怪我もあったが1年留年している。このままデビューさせると危険だと思えば留年させるべきだし、本人に騎手になることへの強い意志があれば、古川のように甘んじてそれを受け入れるはず。そもそもデビューしてからの方が厳しいのであって、ここで挫ける生徒はデビュー後も騎手としての結果は望めないでしょう。大塚の場合、矯正すべき問題点がはっきりしている。もしこの問題点に教官が気付かないまま送り出したとしたら、教官の指導力にこそ疑問符がつく。

ネットでは川田らが注意しても聞かなかったなどということで大塚が批判されていますが、その辺りは憶測混じりで疑わしい。ただ、木村の自称「教育」で大塚が恐怖に囚われていれば、精神的に川田らのアドバイスを聞く余裕など持てない。実は、私は仕事を上司のパワハラが原因で一度辞めています。この影響というのは結構尾を引き、それから転職してもまったく仕事が出来ず、転職先をクビになりました―その転職先は数年後倒産したが―。立て直すには数年かかり、今はとりあえず食べていける程度には稼いでいますが、心療内科には月に一度、未だ通い続けている。精神的に追い詰められると、自分に対する自信が喪失し、ビクビクして本来できるはずのこともできなくなります。ただ、自分の体験に照らし合わせるならば、追い詰められると、そもそもレースで馬に騎乗することすら恐くなるのでは?とも思うのです。2020年1月5日、負傷して長期戦線離脱になったレースは、先述したように元々の技量不足も大きいとは思いますが、それを批判するばかりではなく、当時の彼の精神状態がどうだったのかを知らなければならないでしょう。

私の推測だと、技量的に問題ある大塚に対し、「教育」の何たるかを学ばなかった木村が、間違った「教育」で恐怖だけを植え付け、大塚は委縮して余計できなくなり、更にそれが木村を苛立たせ、ヒステリックな言動で大塚を追い詰めるという負のスパイラルが招いた結果なのでは、と。

ただこの件に関しては、木村と大塚の父親(調教助手)がかつて勢司厩舎の同僚だったということもあり、木村と父親のバトルの様相を呈していて、大塚本人が騎手を続けたいのか、競馬界に残りたいのかどうか、はっきりと見えてこないところがあります。親に引きずられているのではないか?と思えなくもない。父親や代理人の弁護士抜きにして、まずは大塚が自分の口で語らなければ、周囲のホースマンたちも大塚に手を差し伸べられないのでは?