粕本集呆の馬事放言

「粕本集呆の辛口一献」に替わるカスPこと粕本集呆の新ブログ。主に競馬関連中心ですが、ニコマス活動再開も企図しております。

竹中直人のオリンピック開会式辞退で思ったこと。

東京オリンピックの開会式、竹中直人が直前に所謂「ドタキャン」をしたとか。理由は昔の、視覚障がい者をネタにしたコントをしたことがあるからだとか。小山田圭吾が詰め腹を切らされたとき、竹中も1985年、デビュー2年後の「竹中直人の放送禁止テレビ」というオリジナルビデオ作品で色々とひどいネタをかまし、その中に当該コントが含まれていて、障がい者団体から抗議を受けたことがあると組織委員会に告白、辞退を申し出たという。ただそのコントは、竹中自身は演じただけのようで作ったのは別の人物らしく、また団体に竹中は謝罪しており、作品も回収して市場にはもう出回っていないことから委員会は慰留。しかし小林賢太郎の件で再度申し入れ、今度は受理されたという。

このビデオ作品が世に出たのが1985年と聞き、私は前のブログで島田紳助が芸能界を事実上追放されたときに記した、上方芸能評論の泰斗・木津川計氏の1984年の著書「上方の笑い」の一節を思い出しました。

1980年代前後から「ホンネ漫才」というものがブームになりはじめた。「ホンネ漫才」について木津川氏は

―それはタテマエの虚偽を撃ち、現実の差別を衝いたり暴露したり、要するにホンネをさらけだして戦後民主主義の「擬制」を告発したといわれた。大量の落ちこぼれを生む「民主教育」「差別解消」の掛け声に温存される差別、それらをさらけ出してみせたというわけだ。

とはいえ、その実像が何であるか、木津川氏は攻撃的なスタイルで当時の若者たちに支持されたツービートや紳助・竜助の漫才を例に挙げ、

―”うたは世につれ、世はうたにつれ”は同様にお笑いにもいえ、時代の精神を反映する。ホンネ漫才のおもむく先が、無力な者や社会的弱者であり、強い者の論理に支配されていたのは、時代もまた、強い者の論理を支配的にしているからにほかならない。

そして鎌田慧鶴見俊輔両氏の雑誌対談での、彼らのブームに対する批判的分析を紹介し、

―「渡部昇一社会福祉への攻撃や竹村健一の体制的価値観の押しつけ、(中略)その大合唱に依拠しながら、ツービートは彼らなりの常識(戦後民主主義)の裏返しをおこなう。敬老精神、福祉、職業の貴賤や差別用語の撤廃。それらは現実的にはタテマエだけになっているので、攻撃されると弱い。だから偽善にヘキエキしているヤング世代にウケる」(鎌田)「現代で通用している支配層が持っている価値体系と同質のものです」(鶴見)

そして木津川氏は

―時代に迎合し、その限りで支配層のお目こぼしにあずかった、いうならば、イキがってはみせるが、”甘えの構造”にひたりきった笑いであったといえよう。

と、ツービート、紳助・竜助を一刀のもと斬り捨てている。

(太字部分はすべて木津川計「上方の笑い」⦅1984年。講談社現代新書⦆より抜粋)

竹中直人のビデオは1985年で、「ホンネ漫才」が絶頂期に達した1980年より5年後ですが、「支配層」は当時と変わらない状況で、竹中のコントを作った人物も、ツービートや紳助・竜助のスタイルをそのまま模倣したのでしょう。1969年生まれの小山田圭吾も、小学校中学年のときに弱い者いじめの「ホンネ漫才」を見て影響を受けたかもしれない。ツービートの片方が、開会式をボロッカスに批判していたのは何とも皮肉。

思えばドリフも「バカ兄弟」という今絶対できないようなコントをいかりや長介仲本工事でやっているし、老人を揶揄するようなコントも結構ある。弱い者を見下して笑って憂さを晴らすというのは「えた・非人」制度からある構造的ガス抜きで、その弱者を笑うという支配層が作った構造的風習は、長い年月を経て残念ながら今の私たちにも確実に組み込まれてしまっている。だから弱者を貶めるというのは笑いとしてもっとも簡単。簡単だからどの芸人も多かれ少なかれ必ずどこかでやっているでしょう。竹中直人にとって不運だったのは、俳優を志しながらも、俳優だけでは生きていけないということで、コメディアンを始めたら、それが好評だったこと。遠藤周作の物真似に留まればよかったのですが―後に遠藤周作の生涯を描いたテレビドラマで、遠藤周作を演じている―、社会的弱者を攻撃するという当時の風潮に乗ってしまった。デビューして間もなく、今のような名声もない。断れなった事情もあるかもしれません。

従って昔のことで竹中直人を責めるのは酷だと言われますが、今回は色々と言われているにせよ、世界全土が注目する、日本という国家の姿を体現するイベントで、最後は天皇が開会宣言という国事行為をする舞台でもある以上、仕方ないと思います。だから問題は、組織委員会が一時的にでもお笑い芸人をやっている人間を安易に起用したことでしょう。笑いというのは、余程の天才でなければきれいなままではやっていけない。どこかで必ずケチがついてしまう。ところで、もし忌野清志郎が生きていて、開会式の音楽担当になったら「オ〇ンコ野郎!FM東京!」は問題視されるのかしら?

 

最後にクイーンステークスの予想をごく簡単に。「クイーン」という名がついている牝馬のレースが日本の競馬界には氾濫しているので、「クイーンステークス」と言われても、最初は「どこの?」と思ったり「クイーンカップ」や「クイーン賞」と混同したりしてしまう。ちなみに「クイーンカップ」は中央地方あちこちにありますが、「クイーン賞」は船橋牝馬交流GⅢのみ。「クイーンステークス」も中央しかない名称。

 

◎5枠5番 ドナアトラエンテ(川田)

〇5枠6番 マジックキャッスル(戸崎)

▲7枠9番 テルツェット(ルメール)

△2枠2番 イカット(横山武)

△7枠10番 サトノセシル(大野)

×6枠7番 マイエンフェルト(川又)

 

◎〇▲の3頭は安定した走りを見せているのですが、問題は3頭とのディープインパクト産駒で、函館も札幌も経験ない。ディープインパクト産駒は、直線の短い函館は苦手というほどではないのですが、得意でもない。オマケに◎〇は鞍上が何だか不安。格からすると断然マジックキャッスルなのですが、こういうときの戸崎はやらかしてくれそうでこわい。

そこでディープ産駒でも函館2勝のイカットと前走同じコースを勝っているサトノセシル、函館巧者のハービンジャー産駒のマイエンフェルトを指名。3頭とも先行力が魅力。

買い目は5を軸に三連複2、6、7、9、10に流して10点。